今日はちょっと厳しい話をします。
無料ダウンロード数も、カテゴリ1位も、高い開封率も、「読まれた証拠」ではありません。
どれも、読者が動いた結果ではなく、仕組みが動いた結果です。
私は8月25日にKindle本を出します。
そのとき、最初の2日間はKindle Unlimitedに開放せず、99円の有料販売だけにします。
数字を増やす方法があるのに、あえて使わないという選択です。
3日間の無料キャンペーンで残るのは、無料で受け取った人だけ
Kindle出版でよくある手順があります。
発売から3日間を無料にして、ダウンロード数を伸ばす。露出が増えれば、その後は売れるだろうという期待です。
私も過去に本を出しました。
出版社から出したものも、自分で出したものもあります。
無料キャンペーンの結果は、はっきりしていました。無料でダウンロードされて、それで終わりです。
ダウンロード数は増えます。
ただ、増えたのは「0円だから受け取った人の数」であって、「その本を読みたかった人の数」ではありません。数字は残っても、読者は残らない。
ここが最初の分かれ目です。
数字が動いたとき、動かしたのは読者の意思なのか、それとも無料という条件なのか。
カテゴリ1位は、総合順位を見れば分かってしまう
同じことが、ランキングにも言えます。
AmazonのKindleストアには細かいカテゴリがあり、数冊売れれば1位を取れるものもあります。
だから「カテゴリ1位獲得」という肩書きは、思っているより簡単に作れます。
先日も、カテゴリ1位をうたう本を見かけました。
総合順位を見たら、1万位あたりでした。
1位という表示は本当です。ただ、その1位が意味しているのは、そのカテゴリを見た人がほとんどいなかった、ということでもあります。
私が狙うのは、有料の総合ランキングのみです。
トップ50までが最初の画面に表示されます。そこに入らなければ、そもそも誰の目にも触れません。
順位そのものが目的なのではありません。
人の目に触れる位置に入るかどうかで、順位の意味がまったく変わる。同じ「1位」でも、中身が違うということです。
開封率が高いのは、通知が多いからです
そして、これは自分の発信にも、はね返ってきます。
Substackは開封率が高いと言われます。
私も便宜上、そう説明することがあります。ただ、正直に言えば、その数字を読者の熱量として受け取ってはいません。
Substackからは、いいねされました、コメントがつきました、という通知メールもたくさん届きます。
何か来たから開く。
開けば開封としてカウントされます。
開封率が高いのは、記事が待たれているからとは限りません。通知が多いからです。
さらに、私の環境では最近、スマホに届くメールの文字が以前より小さくなりました。
普段、パソコンで見ている分には気づきません。
ただ、スマホであの文字量を読み切るのは、正直つらい。
日本語で特に読みにくい気がしていますが、これは私の実感で、仕様として確かめたわけではありません。
先日、漫画の形で記事を送りました。文字サイズの影響を受けないので、明らかに読みやすい。開封率という数字は同じでも、届いているかどうかはまるで違います。
開封は、開いた事実しか教えてくれません。読まれたかどうかは、別の話です。
見える数字を、三つに分けて考える
ここまでの三つは、別々の話に見えて、同じ構造をしています。
表示されている数字が、誰の、どんな行動を表しているのか。それを確かめないまま成果として扱うと、伸ばす方向を間違えます。
私は、次の三つに分けて見るようにしています。
条件が作った数字:無料、割引、通知。受け取る側の負担がゼロに近いから発生した動き。
母数が作った数字:カテゴリ順位のように、比べる相手が少ないから成立している位置。
意思が作った数字:お金を払った、返信した、名前を出して寄稿した。負担を引き受けたうえでの動き。
増やして意味があるのは三つ目だけです。一つ目と二つ目は、増えても関係は残りません。
だから、2日間は有料だけで売ります
この考え方を、そのまま今回の売り方に当てはめました。
発売から2日間は99円で、Kindle Unlimitedには開放しません。
Unlimitedに出せば、無料で読める人が増えて、読まれたページ数も伸びます。ただ、それをやると、有料ランキングを狙う力が二つに分かれます。分散させたくない。
3日目から250円に上げて、Unlimited対象にします。Unlimitedに入っている方は、2日待てば無料で読めます。それでいいと思っています。
2日間で99円を払ってくださった方には、こちらから特典をお渡しします。
買って損をした、とは思わせたくないからです。
そしてこの2日間の売上は、全額を災害の寄付に充てる予定です。
目標は、有料の総合トップ10です。
相手次第なので、200冊で届くのか、500冊必要なのかは分かりません。
届かない可能性も普通にあります。そのときは、200冊では10位に入らなかった、という数字をそのまま書きます。
数字を捨てるのではなく、意味を確かめる
私は数字を見ない人間ではありません。むしろ毎日見ています。
ただ、増やしやすい数字ほど、増やしても何も残らないことがあります。
無料のダウンロード、狭いカテゴリの1位、通知に引きずられた開封。どれも、増やそうと思えば増やせます。
あなたが今週いちばん喜んだ数字を、一つ思い出してください。
その数字は、誰が、何を引き受けて動いた結果でしょうか。答えられるなら、その数字は追う価値があります。
答えられないなら、追う先を変えたほうがいい。
私は8月25日に、その答え合わせをします。


