ゲイリー・ヴェイナチャックという人がいる。
ネットでは「GaryVee」の名前で知られ、VaynerMediaのCEO、VaynerXの会長、VeeFriendsのCEOとして活動している起業家だ。
彼は、いわゆる「SNSで成功した人」として語られることが多い。
だが、本当に面白いのは、SNSをうまく使ったことそのものではない。
ゲイリーが一貫して言ってきたのは、もっと根本的なことだ。
自分の好きなこと、詳しいこと、語り続けられることを発信し、そこに信用を積み上げ、仕事や人生に変えていく。
この考え方は、2010年に日本で出た『ゲイリーの稼ぎ方』にもはっきり表れている。
そして面白いことに、彼は2026年の今も、その思想をSubstackで実践し続けている。
ゲイリー・ヴェイナチャックとは何者か
ゲイリー・ヴェイナチャックは、1975年生まれの起業家であり、マーケターであり、作家であり、発信者である。
もともと彼は、家業のワインショップを成長させた人物として知られるようになった。
ワインを売るために、彼は動画を使った。
ワインについて語り、選び方を伝え、視聴者と直接つながった。
今でこそ、商品を売るためにYouTubeやSNSを使うのは当たり前に見える。
だが、彼がそれをやっていた時代には、まだかなり先進的だった。
彼は、ワインそのものだけを売っていたわけではない。
売っていたのは、
ワインを選ぶ視点
本人の熱量
この人なら信頼できるという感覚
見ている人との関係性
だった。
つまりゲイリーは、かなり早い段階で「個人そのものがメディアになり、ブランドになり、販売力になる」ことを実践していた人である。
『ゲイリーの稼ぎ方』が伝えていたこと
『ゲイリーの稼ぎ方』は、ゲイリーの原著 Crush It! の日本語版として、2010年に刊行された。
タイトルだけ見ると、いかにも「SNSでお金を稼ぐ方法」の本に見える。
しかし中身の本質は、もっと深い。
この本が伝えていたのは、ノウハウというより、これからの時代の生き方だった。
要点をまとめると、こうなる。
自分が本当に情熱を持てるテーマを見つける
そのテーマについて発信し続ける
読者、視聴者、顧客との関係を作る
自分の名前に信用を蓄積する
その信用を、仕事やビジネスにつなげる
いまなら、これは「個人ブランド」や「クリエイターエコノミー」という言葉で説明される。
しかし、原著が出たのは2009年、日本語版が出たのは2010年だ。
まだSubstackも、今のようなnote文化も、TikTokも、個人ニュースレターの盛り上がりもなかった。
その時点でゲイリーは、すでに「個人が発信を通じて信用を作る時代」を語っていた。
彼の考え方の中心にあるもの
ゲイリーの考え方を一言でいえば、信用の積み上げである。
彼は、SNSを単なる宣伝場所として見ていない。
広告を打って一瞬だけ人を集める場所でもない。
むしろ、SNSやメディアは、長期的に信頼を作るための場所だと考えている。
だから彼は、発信において次のようなことを重視する。
自分が本当に語れるテーマを持つこと
表面的な流行ではなく、長く続けられる情熱を選ぶこと
読者や視聴者に価値を渡すこと
数字だけでなく、関係性を見ること
完璧を待たずに出しながら改善すること
プラットフォームの変化を観察すること
ここで大事なのは、彼が「楽して稼げる」と言っているわけではないことだ。
むしろ逆である。
好きなことを選べ。
ただし、それを人に届く形で出し続けろ。
毎日動け。
反応を見ろ。
改善しろ。
コミュニティと向き合え。
ゲイリーの思想は、かなり泥くさい。
「好きなことで稼ぐ」というより、
好きなことを、人にとって価値ある形に変え続けるという考え方に近い。
なぜゲイリーは早かったのか
ゲイリーが早かったのは、SNSの流行を当てたからではない。
彼が見ていたのは、もっと大きな変化だった。
それは、企業やマスメディアだけが発信力を持つ時代から、個人が直接人とつながる時代への変化である。
以前なら、個人が多くの人に自分の考えを届けるには、テレビ、新聞、出版社、広告代理店のような門番が必要だった。
しかしインターネットとSNSによって、その構造が変わった。
個人が直接発信できる。
個人が直接読者や顧客とつながれる。
個人が自分の信用を積み上げられる。
ゲイリーは、この変化を早くから見ていた。
だから彼にとって、Twitter、YouTube、Facebook、Instagram、TikTok、LinkedIn、Substackは、それぞれ別物ではない。
全部、「人の注意が集まる場所」であり、「信用を作る場所」であり、「個人がメディアになれる場所」なのだ。
ゲイリーがよく言う“Underpriced Attention”
ゲイリーの考え方を理解するうえで重要なのが、Underpriced Attention という発想である。
直訳すれば、「割安な注意」だ。
多くの人がまだ本気で使っていない場所。
でも、そこには人の注意が集まっている場所。
競争が激しくなる前に、そこへ先に入って、発信し、関係を作る。
これがゲイリーの得意な見方である。
2010年前後なら、それはTwitterやFacebookやYouTubeだった。
その後はInstagram、TikTok、LinkedIn、ライブ配信、ショート動画などがその対象になった。
そして2026年の今、彼はSubstackにも力を入れている。
ここがとても象徴的だ。
ゲイリーはいまもSubstackで実践している
ゲイリーは現在、Substackで Underpriced Actions というニュースレターを運営している。
そこでは、スタートアップ、ブランド、人物、ソーシャルメディア、マーケティング、ビジネス、文化トレンドなどについて、彼自身の日々の観察を発信している。
2026年5月時点でも投稿は続いている。
さらに彼はLinkedInでも、2026年はSubstackにもっと力を入れる、長文の書き言葉には大きな機会がある、という趣旨の発信をしている。
これはかなり面白い。
なぜならゲイリーは、動画やSNSで大きくなった人物だからだ。
その彼が、いま改めて長文の書き言葉に注目している。
つまり彼は、過去に言っていたことを懐かしく語っているだけではない。
今もなお、新しい場所で同じ思想を実践している。
Substackとゲイリーの思想は相性がいい
Substackは、ゲイリーの考え方と非常に相性がいい。
なぜならSubstackは、単なるブログサービスではないからだ。
記事を書ける。
メールとして届けられる。
Notesで短文も出せる。
コメントで読者と話せる。
推薦機能で書き手同士がつながれる。
有料購読やコミュニティも作れる。
これは、ゲイリーが昔から言ってきた「個人がメディアになる」という考え方にかなり近い。
SNSの投稿は流れて消える。
しかしSubstackでは、記事が蓄積され、メールで届き、読者との関係が残る。
短期のバズだけではなく、長期の信用を作りやすい。
だからこそ、ゲイリーの思想を知るうえで、彼が今Substackを使っていることは重要だ。
彼は「昔、SNSが大事だと言っていた人」ではない。
今も、人の注意がどこに移っているかを見て、そこに自分の発信を置いている。
日本人の書き手にとってのヒント
ゲイリーのやり方を、そのまま日本人が真似する必要はない。
彼はテンションが高く、量も多く、営業力も強い。
日本語圏の書き手が、同じ口調や同じ熱量でやろうとすると、無理が出るかもしれない。
真似するべきなのは、スタイルではない。
真似するべきなのは、その「考え方」である。
自分が語り続けられるテーマを持つ
読者にとって役立つ形にする
完璧を待たずに出す
出しながら改善する
数字だけでなく、読者との関係を見る
短期の反応より、長期の信用を大切にする
プラットフォームの変化を観察する
この考え方は、Substackでも、noteでも、Xでも、YouTubeでも使える。
特にSubstackでは、「派手にバズる人」よりも、「この人の視点を読みたい」と思われる人が強い。
情報そのものは、検索でもAIでも手に入る。
それでも読者が特定の書き手を読むのは、その人の見方、経験、選び方、言葉の温度に価値があるからだ。
これは、ゲイリーが『ゲイリーの稼ぎ方』で語っていた個人ブランドの本質そのものだ。
ゲイリーを紹介する意味
ゲイリー・ヴェイナチャックを紹介する意味は、「海外のすごいマーケターを知ろう」という話だけではない。
彼を見ると、発信の本質がわかりやすい。
プラットフォームは変わる。
TwitterがXになり、Facebookの存在感が変わり、TikTokが伸び、Substackが出てくる。
これからも、新しい場所は出てくるだろう。
でも、変わらないものがある。
それは、
自分の視点を持つこと
継続して届けること
読者や顧客との信頼を作ること
自分の名前に信用を貯めること
である。
ゲイリーは、それを本で語り、SNSで実践し、今はSubstackでも続けている。
だから彼は、単なるSNS成功者ではない。
個人がメディアになる時代を、かなり早くから見抜き、自分自身で試し続けている人なのだ。
最後に
『ゲイリーの稼ぎ方』は、SNSの攻略本というより、個人が信用を作るための考え方を教えてくれる本だった。
そして、その考え方は今も終わっていない。
ゲイリー自身が、2026年現在もSubstackで発信を続けていることが、その証拠である。
動画の時代でも、短文SNSの時代でも、AIの時代でも、最後に残るのは「誰が、どんな視点で、何を語るか」だ。
ゲイリーはそのことを、ずっと言い続けている。
そして今も、自分でやり続けている。
だから彼を知ることは、Substackで書く人にとっても、個人で発信していきたい人にとっても、かなり大きなヒントになる。
▼ゲイリーのSubstackはこちら
次回もお楽しみに









